2011年08月
2011年08月31日
エヌ氏の遊園地
日曜日に、もう15年間ほどお世話になって来た近所の医院の中村先生が亡くなった。78歳だった。
“カップ麺とかインスタントばっかり食べてるから、こんな数値になるんだ!”
“そうよ!岡村さん、去年の検査の時にも、先生に同じ事言われてたじゃないの”
“だいたい、独り暮らしの長いのが良くないね。いい人、いないの?”
“ああ。昔、居たんですが、時間切れで逃げられました”
(診察室内大爆笑)
私は、いつも怒られていた。看護師さんもグルだった。それが、とても有難く、嬉しかった。
今日の朝、まだ休診中の医院へ薬だけをもらいに行った。
いつもは、お年寄り達の社交場でもある待合室には誰もおらず、空気が沈んでいた。
もう、私の健康を心配して、叱ってくれる人はいなくなってしまった。
泣けて泣けて仕方がない。
先生、ありがとう…。 寂しいです。
午後、内幸町にあるワーナーの試写室へ行き、その後、新橋で思い切って洗濯機を買い、中野へ向かった。
私の後輩である秋山直太朗が出ている芝居を観た。誠実な舞台だったが、もっと非日常を遊んで欲しいと思った。これから電話してやろうか? もうじき、夏が終わる。
2011年08月30日
傷だらけの人生
朝、病院へ行き、傷口の抜糸をする。先週の手術に比べたら、大して痛くない。
“手術前に行った血液検査の結果ですが、HIV、梅毒、B型肝炎、いづれも問題ありませんでした”
“そりゃ、そうでしょう。ハッハッハッハ…”
“どんな事があっても、顔の皮膚を引っ張って、傷口を拡げる様な事はしないで下さい”
“そんな事、する訳ないでしょう。ハッハッハッハ…”
終わって、川崎へ行き、観逃していた映画を観て、いろんな雑用を一挙に済ませる。
何だか、ひどく疲れてしまい、ひどくつまらなかった。
そこで、ネクタイとベルト、小野リサのベストCDを買って帰り、うなぎ弁当を食べた。味は、イマイチ。
古い友人Mより電話あり、仕事上の悩みを聴いてもらう。5%ぐらいは、気分が良くなった。
2011年08月29日
ムーランルージュの青春
本日午後2~4時生放送のかわさきFM(79.1MHZ)「岡村洋一のシネマストリート」(No.1378&1379)は、まず第1部に、BeeTV『パーティーは終わった』(仲里依紗、成宮寛貴、永山絢斗、高岡蒼甫、林遣都、小出恵介ほか)のDVDが好評レンタル中の行定勲監督が、電話で久しぶりに登場。この作品には私も出ています。
続いて、ドキュメンタリー映画『ムーランルージュの青春』が、9月17日に公開になる田中重幸監督が登場し、1931年に始まり、森繁久彌、由利徹、益田喜頓、有島一郎など、キラ星のごとき多くのスター・コメディアンを輩出した伝説の劇場について大いに語って頂いた。
続く第2部では、秋山直太朗くん(写真左)が、自身が出演する予定のRED第1回公演『ため生き』(8月31日~9月4日/中野スタジオあくとれ)をPRした後、飛坂光輝くんが、韓国映画『悲しみよりもっと悲しい物語』(2009年公開/DVD発売中)を紹介、更に自身が土方歳三役で出演予定の劇団・歴史新大陸第5回公演『新撰組異聞・暗殺』(9月28、29日/みらい座いけぶくろ)を告知した。
そして、映画評論家の福田千秋さん(写真右)&上山勝也さん(ディズニー・ピクチャーズ)が登場、新発売になったブルーレイ&DVDを紹介した。取り上げたのは…
『ハンナ・モンタナ、フォーエバー』『シャーペイのファビュラス・アドベンチャー』『ティンカー・ベルと妖精の家』『塔の上のラプンツェル』そして、『木を植えた男』の5本。
この番組は、日曜午前11~12時に、第2部(後半)の再放送もあり、世界中、何処からでも(塔の上でも!)オンタイムで聴けます→ http://www.simulradio.jp/
更に、「岡村洋一のシネマストリート」専用サイトでは、最近1ヶ月の放送と、過去の放送の傑作選を聴く事が出来ます→ http://www.movics.tv/html/index.php
2011年08月28日
木を植えた男
※ フランスの山岳地帯を旅する若者が出会った男の30年にも及ぶ行動を通して、人間の創造力の偉大さと環境問題をテーマにして描いた1987年アカデミー短編賞(アニメ部門)受賞作。人里離れた荒野に住む初老の羊飼い・ブヒエ。彼は荒れ果てた大地にたった一人で木を植え続けていた。目的など多くを語らない彼の信念を貫くその行動は、二つの大きな戦争の間も続き、中年になった若者が再びその地を訪れた時、不毛の大地はまさに楽園に変身していたのだった……。 ※
色鉛筆を使って2万枚にも及ぶ絵を、4年半かけて制作したフレデリック・バックは、カナダを代表するアニメーション作家だ。風のように流れる作風とパステル画タッチで書かれたその絵柄からわき出るメッセージは自然保護や文明批判をやさしくも痛烈に訴えかけてくれ、まさに感動の1本。
このDVDの監修も担当した高畑勲監督のコメントが“特典映像”に入っており、バック監督への敬愛にあふれていて、こちらも素晴らしい。
響き合う作家の魂と魂、そこで奏でられるのは、優れた芸術家同士のみに許される、何とも言えない美しい旋律だ。私は映像作家ではないが、その美しさの気配ぐらいは感じる事が出来る。
そして、その美しさは、この物語に出て来る初老の羊飼い・ブヒエの心根にも通じる。不器用だが、実直で、最終的にはとても賢い彼は、きっと大自然そのものと呼応していたに違いない。3人の男の偉大な魂に触れられる傑作だ。DVD発売中。