永遠の一秒たまゆら

2010年09月26日

悪人

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モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した深津絵里に注目が集まっているが、チャラい大学生役を演じた岡田将生と、妻夫木聡演じる不骨な男に殺されてしまう、チャラい女を演じた満島ひかりが素晴らしく、この映画の背骨と言っても良い。

深津絵里が働いている紳士服専門店の、品物はたっぷりあるが何処か空疎な感じは、何だか彼女の心の中そのものみたいだ。

こういう、随所に見られる“映画温度”の低さが、この作品全体の何とも言えない、絶望的なトーンの形成に寄与している。

愛しているから、失いたくないから、強く抱きしめた。思いっ切り抱きしめたら、パリンって壊れてしまった。あんなに大切な人だったのに…。

何て不幸な、片隅の二人。でも、もしかしたらあまりに不器用な二人は、ただバスに乗り遅れただけなのかもしれない。

此岸がダメなら、彼岸があるさ。

いや、ダメダメ。死んではダメだよ。人は皆、誰だって“悪人”じゃないか。ムショから出たら、今度こそは上手くやりなよな。

この世に“希望”は、あるともないとも言える。

人間の持つ、どうしようもない弱さと悲しみを真正面から描いた力作。休日の映画館は、満員だった。


drecom_y_okamura at 22:48│Comments(0)TrackBack(0)

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